ホルミウムレーザー前立腺核出術:
HoLEP(ホーレップ:ホルミウムヤグレーザー)新しい前立腺肥大症治療戦略
栗田 豊
前立腺肥大症(BPH)の治療法は、薬物療法および外科的治療に大別されます。初期治療として、薬物療法が選択されますが、その種類としては、α遮断薬、抗男性ホルモン薬、その他の薬剤(植物エキス、アミノ酸製剤、漢方薬など)があります。
中等ないし重症症例に適応される外科的治療法は、従来からの経尿道的前立腺切除(TUR-P)や被膜下摘除術に加え、ラジオ波による高温度治療 (TUMT:経尿道的マイクロ波高温度治療術)、TURF:経尿道的ラジオ波高温度治療術)あるいはTUR- P の切除ループに改良を加え切除と蒸散の両方が可能な方法(TUVP:経尿道的蒸散切除術)や経尿道的光選択的前立腺蒸散法(PVP)など多様な改良がなさ れています。上記治療は、いずれも前立腺腺腫被膜を切開、蒸散し前立腺による下部尿路閉塞を改善します。
そんな中、内視鏡手術の概念としては、まったく異なった方法が登場しました。それが、ホルミウムレーザー前立腺核出術(holmium laser enucleation of the prostate; HoLEP)です。
HoLEP は、ホルミウムレーザーを用いた内視鏡下の前立腺核出術です。今まで前立腺核出術は、開腹にて被膜下摘除術という方法を用いて行われていました。HoLEP は内視鏡下に外科的被膜に侵入し、無血管野を剥離し、腺腫被膜を破ることなく前立腺内腺を核出します。
従来、開腹手術が選択されるような100g 以上の大きな前立腺症例に対しても、比較的安全に施行できるもので、有用性が高く、開放手術に替わる minimum-invasive surgery として注目を集めています。さらに入院期間が従来のTURPでは約7-10日間でしたが、レーザー治療ではおよそ5-7 日間に短縮される点で今後普及が期待できる治療です。国内でも保険適応です。
私自身は2010/6月よりHOLEPを開始し、現在まで(2016年2月現在)に、770例以上治療し、良好な成績を収めております。