当センターで使用しているレーザー治療のレーザーファイバーは極細です(0.2mm)。したがって、このレーザーを使用して行う手術用内視鏡は極めて細いため(先端1.6mm)、患者さんにとっては侵襲が少なく理想的な治療手段といえます。最近の医療用レーザーの開発と内視鏡の発達により、腎・尿管疾患に対して低侵襲な(体に優しい)内視鏡手術が可能になりました。
当センターでは、体外衝撃波結石破砕術(以下ESWLと略す)で治療困難な腎・尿管結石および腎盂・尿管癌に対して、細い内視鏡(尿管鏡)とレーザーを用いた内視鏡治療を行います。この内視鏡治療は全身麻酔で行います。治療の方法は、尿道・膀胱から内視鏡(ファイバースコープ)を腎盂・尿管の病変部まで挿入して行います。腹部を切開して行う開腹手術ではありません。
使用するレーザーはホルミウム・ヤグレーザーです。このレーザーは出血の凝固(止血)、や腫瘍の切除が可能であるばかりでなく、結石破砕も可能であり、極めて応用範囲の広いレーザーです。さらにレーザー光の組織への深達度は0.5mm以下ですので、周囲組織への影響はほとんどなく安全に使用できるレーザーです。また、このレーザーは結石の成分・硬度に関わらずすべての結石を砕石できますので、複数回のESWLで砕石できない患者さんや、合併症のためESWLを行えない患者さんにおすすめしています。
(担当医・麦谷は平成11年に「難治性尿管結石に対する細径内視鏡下レーザー砕石術」にて浜松市医療奨励賞を受賞しました。)
当センターでは腎盂・尿管癌の治療にも、癌の大きさや性質(異型度)によって内視鏡治療を行います。高齢で合併症のために大きな手術が困難な患者さんや、腎温存手術(腎臓を切らずに残す)を希望する患者さんに行います。この内視鏡手術の最も大きな特徴は、腎臓を切らずに残し腫瘍のみ切除することです。また手術侵襲も少ないため、入院日数も短く(約1週間)なります。最近では新型内視鏡を使って、癌の早期発見に努めています。
(担当医・麦谷は平成20年に「Narrow Band Imaging(NBI)併用腎盂尿管ビデオスコープによる上部尿路の観察」にて日本 Endourology&ESWL学会・オリンパス賞を受賞しました。また平成23年に「狭帯域光観察併用内視鏡を用いた腎盂・尿管癌の診断と治療」にて内視鏡医学研究振興財団研究助成金を贈呈されました。)
一方、当センターでは原因不明の腎出血(血尿)患者さんに内視鏡検査を行い、出血点を内視鏡で止血する手術も行います。
(担当医・麦谷は平成21年に「特発性腎出血の病因解明に関する実験的研究:ナットクラッカー現象における内視鏡的評価」にて内視鏡医学研究振興財団研究助成金を贈呈されました。)
これらの内視鏡手術は、患者さんの病状や体調に応じて行います。お気軽にご相談ください。また現在かかりつけの先生にご相談いただき、ご紹介をお待ちしております。
(担当医:麦谷 荘一 E-mail:
mugiya@suzukake.or.jp)